米国では、インフレ率が高止まりする中、消費者のインフレ期待も高まり始めている。賃金と物価のスパイラル的な上昇を回避するため、中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)は、景気を犠牲にしてでも、インフレ抑制に注力しなければならない状況に追い込まれている。

 インフレ抑制には、供給制約の解消のみならず、潜在成長を下回るペースまで成長を鈍化させる必要がある。欧米主要国は、インフレ高進に歯止めをかけるため利上げを余儀なくされており、先行き世界的な景気減速は避けられないだろう。外需依存の強いわが国は、当然この影響を逃れることはできない。しかし、コロナを巡る活動制限の緩和が遅れたことで、外食や旅行などサービスを中心に消費拡大余地は大きい。

 加えて、円安の副作用があるとはいえ、わが国では低金利が維持されており、投資への制約も小さい。デジタル関連投資の大幅な拡大を通じて、わが国の競争力低下の一因となってきたデジタル化の遅れを挽回する好機といえる。

 また、温暖化が深刻化するなか、大規模な環境関連投資により脱炭素で世界をリードすることも可能だ。山積する課題克服に向けた投資は、景気の大幅な下振れ回避のみならず、中長期的な成長基盤の強化にもつながるだろう。(日本総合研究所理事)