2022年4月から高校の家庭科で金融教育が取り上げられることになった。これは改正民法上、成人年齢が従来の20歳から18歳に引き下げられ、18歳から自らの判断で金融上の契約を行うことが可能になったことに対応したものだ。

 戦後の金融教育とは、事実上、資産運用など行わせず、節約して銀行に預金として預けさせることだった。その理由は、企業の旺盛な資金需要ニーズに応えるべく家計資金を銀行に集約させることだった。同時に銀行は持ち合いも含め企業株式も保有した。その結果、家計は銀行に資金を預ければ、自動的に株式も含め「貯蓄から投資」が実現できた。人々は右肩上がりに成長する企業で一生懸命働けば、その見返りが十分に得られたため、預金以外の資産運用を行う必要がなかった。

 一方、今日では、企業の資金需要は減退し成長神話が崩壊、銀行は保有株式を一方的に売却し、さらに超低金利が加わった。銀行・企業丸抱えのなか全く資産運用を考える必要がなかった家計の財務行動に大きな転換が迫られ、一人一人が意思をもって資産運用を行う必要が生じている。

 高校での金融教育開始は資産運用元年を意味すると同時に、自らが資産形成を行わなくてはいけない厳しい時代に入ったことへの自覚をもたらすものだ。(岡三証券グローバル・リサーチ・センター理事長)