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作業効率化「カイゼン」東北で異業種の企業に浸透 トヨタ東日本発足10年(4)人材育成

2022年7月7日 17:00(2022年7月8日 18:39 更新)
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秋田比内やのねぎまの加工作業。異業種研鑽によって、作業効率は大きく改善された=6月中旬、大館市

秋田比内やのねぎまの加工作業。異業種研鑽によって、作業効率は大きく改善された=6月中旬、大館市

河北新報の「進展 北の拠点 トヨタ東日本発足10年」を全5回連載します

 秋田県大館市の山あいにある食品加工「秋田比内や」の工場には、作業効率アップの知恵がちりばめられている。

 焼き鳥などの商品に異物が混入していないか確認する探知機は、作業者が前かがみにならないよう、コンクリートブロックで十数センチ底上げされている。シンクは省スペースで洗い物を置けるよう、折り畳み式の水切り網を備える。

 こうした工夫はトヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)が、自動車以外の地場企業に生産現場での作業効率化「カイゼン」を広げるために取り組む異業種相互研鑽(けんさん)活動の中で生まれた。

 トヨタ東日本は2021年度、比内やに社員2人を11回も派遣した。職場の困り事を吸い上げ、解決策を共に考える活動を繰り返し、カイゼン意識を醸成。大きく効果を上げたのが、焼き鳥の中で最も出荷量が多いねぎまの生産工程の変更だった。

 肉を切り、串に刺し、計量して、形を整え、トレーに並べ、袋に詰め、真空パックする。従来は担当者ごとに一連の作業を行うため、真空器に移動する時間が長く、担当者同士の交錯もあった。(1)カット(2)串刺し(3)計量から真空作業-を3人で分業するよう手順を変え、作業時間を大幅に短縮できた。

 比内やの武藤幸美社長は「流れ作業にすることで包丁を持つ回数が減り、集中力が上がる。時間短縮で品質向上にもつながった」と効果を実感。異業種研鑽後も試行錯誤を続ける従業員の姿に「目的意識を持ち、仕入れや生産計画を考えられるようになった」と目を細める。

 トヨタ東日本は、地元貢献だけを目指して異業種研鑽に取り組む訳ではない。初対面では時に懐疑的な派遣先担当者の懐に飛び込み、相談に耳を傾けることで、社員自身も対人関係能力が養われる。「トヨタ」の看板を背負い、熱意で職場を変えることは未来のリーダー育成にもつながる。

 「右へならえ」「脱帽。礼」。工場団地の空に勇ましい号令が響き渡る。

 同社隣接地にある企業内訓練校「トヨタ東日本学園」は「ものづくりは人づくり」というトヨタグループの企業風土を体現する。13年に設立され、車造りに不可欠な技能、学科を教え、朝礼・昼礼など心身教育も行う。175人の卒業生は134人が同社社員だが、41人は地元サプライヤーから派遣された若者だ。

 東北電子工業(石巻市)に入社したその年に学園1期生となった服部優人さん(27)は「鉄の板からスパナを作る課題では、ものづくりの楽しさを学んだ。社内のカイゼン活動ではトヨタの発想を積極的に伝えるようにしている」と話す。

 同社は在学中の1人を含め若手社員を6人を派遣した。村上弘管理統括部長は「弊社は元々電子部品の会社で、経営者も、若手も自動車を学ぶ必要があった。トヨタ流のものづくりを行動に移せる若手が育っている」と手応えを語る。

 10年の月日を積み重ね、トヨタイズムは確実に東北に浸透している。

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