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ことばで読み解く 中部企業の決算会見から【2022年3月期決算まとめ】

2022年5月20日 18:00(2022年5月22日 20:36 更新)
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 2022年3月期の決算発表が、5月中旬までにひと段落した。中日BIZナビ編集部では、東海4県(愛知、岐阜、三重、静岡)に本社や拠点を置く主要企業34社の決算発表会見での全発言を、テキストに書き起こした。

 下の図は、文章を単語ごとに分けて解析する「テキストマイニング」の手法で、会見で発せられた12万あまりの「言葉」を調べ、頻出する言葉をまとめた「ワードクラウド」だ。ページを右にめくると、半年前の21年9月中間決算と、1年前の21年3月期決算の発言の分析結果も見ることができる。



 各社の社長らが発した「言葉」には、東海経済を取り巻く環境の急速な変化が映し出されていた。



分析対象の企業一覧(県ごとに五十音順)

(愛知県:26社)アイシン愛知銀行愛知製鋼オークマJR東海ジェイテクト大同特殊鋼中京銀行中部電力デンソー東海東京フィナンシャル・ホールディングス東邦ガス豊田合成トヨタ自動車豊田自動織機豊田通商トヨタ紡織名古屋銀行名古屋鉄道日本ガイシ日本特殊陶業ノリタケカンパニーリミテドブラザー工業マキタ三菱UFJフィナンシャル・グループリンナイ
(岐阜県:3社)イビデンセイノーホールディングスバローホールディングス
(三重県:2社)井村屋グループ三重交通グループホールディングス
(静岡県:3社)静岡銀行スズキヤマハ

各企業の会見全文は、中日BIZナビの会見録データベースに収録している。

分析には立命館大学産業社会学部の樋口耕一教授が開発したテキストマイニングツール「KH Coder 3」を使った。比較対象の21年9が中間決算は33社分、21年3月期決算の記者会見(28社分)を分析した。


よく使われた「言葉」の変化

下の図は、それぞれの決算発表を特徴づける言葉の使用頻度の変化を示している。


メイン写真


22年3月期の決算発表会見で目立って増えた言葉は「円安」や「高騰」だった。それぞれ発言された総回数は92回と86回。1万語当たりの登場頻度を前年の決算発表時と比べると「円安」は8.1倍に、「高騰」は4.3倍に増えていた。(上位100語の一覧は記事の最後に)

かつてない原材料、エネルギー価格の高騰や円安が続き、この流れがおさまる気配が見えません(愛知製鋼・藤岡高広社長)


企業トップたちは、金属や希土類などの資源やエネルギーの価格高騰を円安が加速させ、利益を圧迫していると訴えた。

輸出企業でも円安は「重荷に」

輸出型の製造業を中心とする東海地方では本来、円安は経済界への追い風となる。ただ1ドル115円前後で推移していた為替相場が3月以降に急落し、5月には20年ぶりの130円台に突入。戸惑いの声も聞こえている。

(円安は)足元を見ると業績にプラスの数字が出てくるけれど、長期的に見れば原材料が上がったり、日本の競争力という観点で重荷になってくる(日本特殊陶業・川合尊社長)
 

この1年間の言葉の変化を見ると、1年前の21年3月期決算では「コロナ」が目立ち、半年前の21年9月中間決算では「半導体」の存在感が大きかった。22年3月期決算では、それまで一度も使われなかった「ロシア」が何度も登場。コロナ禍から半導体不足による生産の停滞、ウクライナ情勢へと、各社が直面する課題が、次々に移り変わったことが見て取れる。

一昨年から去年にかけて、予想できなかったことが次々と起こった(リンナイ・内藤弘康社長)
 

分析対象企業のうち、金額が際立って大きいトヨタ自動車と金融・証券各社を除いた27社の純損益を四半期ごとに見ると、21年4~6月期の総額は約5100億円だったが、7~9月期は約2500億円とほぼ半減。10~12月期に一旦回復しつつ、22年1~3月期は再び落ち込んでおり、業績はジェットコースターのように動いた。

基調は「増加」 困難の中でも業績回復

一方、今回の決算発表で最も多く使われた言葉は「増加」で、1万語当たりの登場頻度は28.5回。前年の2.6倍だった。「増加」の前に登場した単語を集計すると、「収益」や「販売」など、増えることが望ましい要素が目立っている。

実際に分析対象34社の22年3月期の純損益は、8割弱の27社で改善しており、新型コロナウイルス禍からの回復傾向も鮮明になっている。

いろんなリーンな(無駄の無い)体制を組んでできている。口幅ったいけれど、力的には上がってきてるかなあ(豊田自動織機・大西朗社長)
 

企業は、08年のリーマン・ショックやその後の超円高、東日本大震災など、大きな試練を乗り越えてきた。大きな環境変化があった22年3月期も、着実に収益を重ねる企業体質が築けたようだ。

印象に残ったトップの言葉

先が読めない時代に、東海地方の経営者たちはどんな針路を描くのか。BIZナビ編集部の記者が印象に残った発言を紹介する。

資本の流れも、資本主義から新しい価値感へ動いてくるということであります。新しい価値感は、私どもにとっては、SDGs17項目のセンターピンはカーボンオフセットだと思っておりますので、いかにカーボンオフセット、カーボンリデュースをしていくかというところが、新しい価値観のテーマになってくる(中略)今までの資本主義の限界を超えたところに、新しい価値観があるというふうに思っております。
セイノーHDの会見全文はこちら
 
物流大手・セイノーホールディングスの田口義隆社長が指摘したのは、世界的な投資の流れの変化。「グリーン物流」が求められる時代を見据え、外部企業との協業などを通じて脱炭素を推進する考えを示した。

製造業の工業品出荷額の全国第1位が愛知県、それから第2位が神奈川県、それから第3位が静岡県(中略)この三つの県に跨ったネットワークっていうものをしっかりつくれれば、例えば自動車産業で培った技術を他の産業にも使っていけるってことですね。(名古屋銀行との包括提携は)製造業全般の産業構造をどうやって変えていくかっていうことを考えた取り組みってふうに理解いただければと思います
静岡銀行の会見全文はこちら
 
4月末に名古屋銀行との包括業務提携を発表した静岡銀行。柴田久頭取は、神奈川県にも店舗網を持つことに触れ、東西3県をつなげて、日本を支える工業地帯の構造改革を後押しするビジョンを披露した。

1円上がるとですねコストは、年間で10億円上がります。130円近いと100億円近く上がることになるんですけども(中略)黙ってるとコストだけ上がりますけども、そういう意味じゃ売上拡大とか値上げとかを通して、ニュートラルに持っていければ、むしろプラスに持っていければということで活動していくというのは、今年度のポイントだというふうに思ってます
大同特殊鋼の会見全文はこちら
 
22年3月期は輸入原材料価格を製品の値段に反映し、純利益を大幅に伸ばした大同特殊鋼。石黒武社長は急騰するエネルギー価格についても、個別に顧客と交渉していくという。価格転嫁は今後の企業収益を大きく左右しそうだ。

環境の変化も激しく、半導体など部品枯渇や物流混乱に加え、お客様の生産台数の減産など、これまでにない変動対応力が求められる年でした(中略)ウクライナ情勢の緊迫化や急激な円安など、ますます先行き不透明となり、またしても、経営の舵取りが試されているのだと思います
デンソーの会見全文はこちら
 
デンソーの有馬浩二社長の言葉のように、試練が次々とやってくるからこそ、経営者の手腕が問われる時代なのかもしれない。


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